今日もはだしで温泉施設をぐるぐる回る
室内風呂、露天風呂、館内
清掃員ロビタの、いつものルーティンだ
サウナ室、最もアツい業務
そのなかで、もっともアツい業務がある
サウナ室のマット交換
畳一枚サイズのマットが30枚
男たちの汗を、たっぷりと吸い込んだ、ずっしり重いやつ
制限時間、10分
しかも階段のあるサウナ室
高温密室で、何往復もする
これ、なかなかのハードワークなんだよね
「お客様、整っているところ恐縮ですが、マット交換させていただきまーす」
声をかけると、みんなわかってて
ぞろぞろと、裸の男たちが外へ歩き出す
作業のはじまりだ
裸のおじさん、降臨
あらあら、ひとりだけおじさんがまだ座ってるよ、寝ちゃってる?
もう一度声をかけるけど、まだ粘ってるなぁ……
あれっ?もしかしてマット、畳んでくれてる?
そう
次から次へと、マットを畳んでくれてる
あなたの今の姿は、フル〇〇なんですけど……
あ、いや
そんな人いる?
「大丈夫ですよ!僕やりますから」
何回か声かけてみても、かわらず畳んでくれてる
新しいマットまで一緒に敷いてくれた
やば、サウナの神様、ここにいた
深々とお辞儀をして、いつもより爆速でマット交換が終わってしまった——
バモちゃんの一言
バックヤードに戻って、バイト仲間のバモちゃんに話してみた
手伝ってくれた人の良いおじさんがいたんだよって
興奮気味に
帰ってきた言葉は
「えーっ!逆に迷惑ですよね!」
「……」
こっちが「えーっ!」だよ
今すぐ冷水にダイブしたいはずなのに
フル〇〇なのに
ぶらぶらしてるのに
そんな状態の人が手伝ってくれたんだよ
なんでこんなにも、解釈がちがうのか
ホント、謎だよ
……
逆に考えてみた
あれ?
逆に考えてみた
もし、あのサウナ室にいたのが僕じゃなくて、バモちゃんだったら……
おじさんが「おう、手伝うよ!」と畳み始めた瞬間
「えっ!、いや、出てもらいたいんですけど!」
って、たぶん、そう言ってた
言ってるはず
おじさんは「あ、あぁっ」とすっと引いて、サウナを出ていったはずだから
この話は、生まれてなかった
フル〇〇の神様は、僕がそこにいたから降臨した
おじさんの善意を「あぁ、神様!」と受け取れたのが、たまたま僕だったから
これって、もしかして
よく聞く「波長」、っていうやつかな。
その話は、次の記事で。



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